スラップ損傷

肩関節の伸展(後ろにやる動作)の拘縮により肩甲骨、肩関節の可動域制限によって腱板(上腕二頭筋長頭腱)の一部断裂し痛みが出ます。肩関節は肩甲骨と上腕骨(腕の骨)で関節を作っています。肩甲骨の関節窩は上腕骨の骨頭に比べて小さく骨頭と比べて3分の1しか大きさがなく可動域がたくさんある分、不安定な関節です。
なので、関節窩にある関節唇という軟骨が関節を動きやすくしたり陥凹を深くしたり安定させる役割をしているのだが関節唇の上方部と上腕二頭筋長頭腱と関節上腕靭帯とくっついているのでこの部分をスラップと言います。スラップの部分に牽引力が強くかかる事によって一部断裂を起こし炎症反応が起きてしまい痛みとして症状が出てきます。これをS L A P損傷と言います。スラップ損傷は重症度の度合いによって分類分けされます。

タイプ1:関節窩へ上方関節唇が付着している状態で上方関節唇に毛羽立ちがある。
タイプ2:上方関節唇および上腕二頭筋長頭腱の起始部が関節窩から剥離し上腕二頭筋―関節唇付着部に不安定性が生じる。
タイプ3:上腕二頭筋付着部が無傷の状態で関節唇のバケツ柄断裂が生じる。
タイプ4:関節唇のバケツ柄断裂が上腕二頭筋腱にもおよんでいる。

スラップ損傷は牽引によって痛めてしまう症状です。
野球のピッチング動作、テニスのスマッシュ、バレーボールのスパイク動作など手を頭の上にあげて振りおろす動作の繰り返しで痛めてしまいます。多くあるのが「腕打ち」「腕投げ」とよく言われる人は痛めやすく肩、腕の力だけで運動をするので負担がかかりやすく痛めやすいです。「腕打ち」と言っても癖の修正の部分もあるのですが体幹や腰、骨盤がうまく使えていない人が無理矢理使おうとするので肩に負担がかかってしまいます。

一般的に日常生活を送る上ではあまり支障が出ません。運動時に強く症状が出る事が多くこの症状のせいで諦めてしまう人もいますし一度、関節唇を剥がれてしまうと治ることはありません。症状は主に運動中に出てきます。野球のピッチングのコッキング期に肩に痛みと不安定性、引っかかる感じが強く出てきます。炎症が強く出ている時期だと庇うあまりに脱臼をしてしまう場合いもあるので注意しましょう。

局所の安静を図り、肩に負担をかける動作を制限して炎症の軽減を目指します

痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や痛み止めを使用します

疼痛や可動域改善目的でステロイド注射やヒアルロン酸注射を行う場合があります

肩の柔軟性や筋力を回復させるためのエクササイズを理学療法士の指導のもとで行います

保存的治療で効果が見られない場合や重度の損傷がある場合に、関節鏡を使用して損傷した関節唇を修復します

当院でおこなっている治療法は根本治療+予防治療をおこなっていきます。
とくに、猫背の姿勢になりがちな方は肩が巻き型(内側に入りこんでいる)姿勢になっているので、肩こりの原因にもなります。また、スポーツにおいても常に肩関節に負担がかかっている状態になり、筋肉や腱を痛めてしまいます。姿勢の改善は根本的治療に繋がります。

→痛みの原因の筋肉に対して、直接鍼を打っていくことで治療の即効性が期待でき痛みの改善が早くなります。
手技療法よりも、筋肉の緩みを早く出すことができるので早くスポーツ復帰したい方や痛みが強い方にはおすすめの治療法です。さらに鍼治療+MPF療法を組み合わせておこなっていく事で治療効果はさらにあがり早く痛みの改善が期待できます。

  • 急性機の症状の時は安静にし、運動を控える。
  • 肩周辺の筋肉強化、ストレッチ療法
  • 体幹、下半身の筋力強化

軽度の損傷であれば適切な安静と保存療法により改善する可能性がありますが、多くの場合は専門的な治療が必要で、放置すると悪化するリスクがあります。早期の適切な対処が重要です。

オーバーヘッド動作や重い物を持ち上げる動作は避け、痛みを我慢して無理に動かすことは損傷を悪化させる可能性があるため控えるべきです。投球やスパイクなどの動作は症状が改善するまで制限が必要です。

SLAP損傷は関節唇の損傷で、肩関節脱臼は上腕骨頭が関節窩から完全に外れた状態です。症状や治療法が異なるため正確な診断が重要で、専門的な検査により区別されます。

適切な治療とリハビリを行えば競技復帰は可能ですが、完全に症状が改善するまでは投球制限が必要で、フォーム改善も重要になります。無理な復帰は再発のリスクを高めます。

保存療法として理学療法、筋力強化、動作改善などがありますが、損傷の程度によっては手術が最も効果的な場合もあります。当院では手術を避けたい方への保存的アプローチも可能です。

整形外科、特にスポーツ整形外科を専門とする医師への受診が推奨されます。MRI検査による正確な診断が可能で、適切な治療方針を決定できます。

保存療法では2-3ヶ月、手術後は完全復帰まで4-6ヶ月程度かかることが一般的ですが、個人差や損傷の程度により異なります。当院では個別の状態に応じた治療計画を立てます。

適切な治療とリハビリを行わずに競技復帰すると再発リスクが高くなりますが、根本原因を改善すれば再発を防ぐことは可能です。動作改善や筋力バランスの調整が重要です。