ルーズショルダー

 肩関節不安定症や動揺性肩関節とも呼ばれ、原因は様々ですが肩関節の安定性がなくなり、痛みや肩の抜けるような感覚があり、肩を使うことに不安感を感じる障害です。

 日常生活で感じる肩のだるさや重さ、倦怠感、痛み、またはスポーツ活動で腕を振ったり上げたりする際の鈍痛があります。他にも、重たい物を持つ事ができなかったり腕の抜ける感じ等があります。また、注意点として症状が胸郭出口症候群に似たものもありますので、鑑別が必要になります。

 原因の多くは脱臼後に肩関節を構成する筋肉や靭帯が傷ついてしまい、そのまま日常生活やスポーツ活動を行うことにより肩関節周辺の組織への負担が大きくなることです。また、運動不足や加齢などによりインナーマッスルと呼ばれる関節を安定させる筋肉が低下する事で、肩関節に負担がかかりやすくなり、その負荷に耐え切れずルーズショルダーを引き起こすこともあります。スポーツ活動ではオーバーユース(使いすぎ)が原因となります。スポーツの代表例として、野球・バレーボール・テニス・バドミントンなどがあげられます。この4つのスポーツは、強い力で腕を振る競技であり、その動作を繰り返すことでインナーマッスルに負担がかかりルースショルダーになるリスクが高まります。その他に、生まれつき肩関節が緩い構造で抜けやすくなっている方もルーズショルダーを発症する事が多くなります。

 関節のゆるみがある状態で日常生活を送ろうとすると、肩関節周辺の筋肉に余計な負担がかかり、症状が慢性化していきます。パソコン作業中や日常生活動作での痛みやだるさが抜けず、それに伴い仕事や家事の効率が下がる事も考えられます。スポーツにおいては場合によって中止や制限も必要になります。また、長期間肩の動きを制限する事で関節が拘縮を起こし、可動域の制限がより強くなりますので注意が必要です。そのため、ルーズショルダーは早期の治療が重要になります。

自宅ケアのメリットは、忙しくて医療機関に通えない方も隙間時間に行えることです。また、自宅ケアを習慣として身につけることが出来れば、症状の改善はもちろん怪我の予防にもつながります。仕事や育児、趣味や部活などで医療機関に通う時間がなかなか作れない方は、自宅でのストレッチや運動を行う事により、整形外科や整骨院で受けた施術の効果を持続させる事ができます。セルフケアの方法として有効的なのが、インナーマッスルのトレーニングになります。

肩関節のインナーマッスルは4つあります。

・棘上筋

・棘下筋

・小円筋

・肩甲窩筋

インナーマッスルのトレーニング時に気を付けるべきことは、重たい重量ではなく、低負荷高回数で行うことです。逆に一般的な筋トレのように重さを重視すると、効果が出にくく怪我に繋がる可能性があります。

はじめにレントゲンによる画像診断やエコーによる炎症反応の確認を行います。治療方法の多くは保存療法であり、湿布薬や鎮痛剤の処方が中心となります。また、保存療法でも痛みが強い場合はステロイド注射を投与し経過観察をします。早急に痛みの緩和をしたい方には鎮痛剤の処方はおすすめです。

整骨院では、アイシングや電気療法、温熱療法や手技療法を用いて施術を行います。炎症初期では、アイシングにより痛みの緩和や炎症反応の抑制を行います。電気療法では、治癒力を促進させ、早期の改善を図ります。

また、温熱療法や手技療法で筋緊張の改善と血流を改善させ、痛みを軽減をさせていきます。他にもテーピングなどを使用する事で肩関節にかかる負担を減らす事ができます。