円回内筋症候群

円回内筋症候群の原因は、主に以下のような要因が考えられます。
反復動作: 繰り返し前腕を回内(手のひらを下に向ける動作)する動作によって円回内筋が過度に使われ、筋肉が硬くなり、正中神経を圧迫します。特に、長時間のタイピングやピアノの演奏などが該当します。
筋肉の異常: 円回内筋の肥厚や炎症が原因で、正中神経が圧迫されることがあります。

円回内筋症候群の症状は、主に以下のようなものがあります。前腕の痛みやしびれ: 前腕の内側に痛みやしびれが生じます。特に、腕を使う動作で症状が悪化することがあります。手や指のしびれ: 親指、人差し指、中指、および薬指の一部にしびれや感覚異常が現れます。
筋力低下: 手や指の筋力が低下し、握力が弱くなることがあります。
前腕の疲労感: 前腕に疲労感や重さを感じることがあります。

回内筋症候群への対応として、次のようなものが一般的です。

消炎鎮痛剤・神経障害性疼痛治療薬・ビタミンB12製剤などを使用し、痛みやしびれを和らげることを目指します。

患部を休ませることで炎症や神経圧迫の悪化を防ぎ、自然回復を促します。装具やスプリントで前腕を固定する場合もあります。

ステロイド注射を神経周囲に行い、炎症を抑制して腫れを軽減することで神経への圧迫を和らげます。

ストレッチや筋力強化運動を行い、円回内筋の緊張を緩めながら神経への圧迫を軽減させ、機能回復を目指します。

保存療法で改善が見られない場合や神経圧迫が重度な場合に、物理的な圧迫を解除する外科的処置(神経剥離術・筋膜切開術)が検討されます。

円回内筋症候群を誘発させる動作や日常生活での原因を鑑みて、治療方針を進めていきます。
症状に対してはしびれや疼痛緩和・血液循環の促進と筋緊張の除去・可動域改善を目的とし、徒手療法や物理療法・鍼灸治療を施行していきます。

  • ストレッチ
  • 罨法(冷・温熱刺激)
  • 鍼灸治療
  • 超音波治療
  • ハイボルテージ
  • 包帯固定・テーピング

東洋医学では回内筋症候群を「痺証」の範疇で捉え、気血の流れの滞りが原因と考えます。長時間の同一姿勢や過度な使用により経絡の流れが阻害され、筋肉や神経に栄養が行き渡らなくなることで症状が発現します。
特に手太陰肺経や手厥陰心包経の経絡上に問題が生じやすく、これらの経絡の調整が重要とされます。治療では鍼灸により経絡の流れを改善し、気血の循環を促進することで自然治癒力を高めます。また、体質改善により根本的な身体のバランスを整え、再発防止を図ります。

適切な姿勢の維持: デスクワークや日常生活で良い姿勢を保つよう心がけ、前腕への過度な負担を避けます。
適度な休息: 長時間同じ動作を続けないよう、適度な休息を取り、前腕の疲労を防ぎます。
ストレッチ: 前腕の筋肉を定期的にストレッチすることで、柔軟性を保ち、圧迫を防ぎます。

発症初期の軽症であれば安静にすることで改善するケースもありますが、多くの場合は適切な治療なしに自然回復することは難しいです。放置すると神経障害が慢性化し、感覚障害や筋力低下が残ることもあるため、早めのご相談をおすすめします。

前腕を内側にひねる動作(ドアノブ・タオル絞り・工具操作など)や長時間のパソコン作業、重いものを持つ動作は症状を悪化させます。痛みやしびれがある状態での無理な使用は避け、なるべく早く適切なケアを受けることが大切です。

どちらも正中神経が障害される点は同じですが、圧迫される場所が異なります。回内筋症候群は前腕にも症状が及ぶこと、腕を回す動作で悪化すること、手のひら側にも感覚異常が出ることが特徴的な違いです。見極めには専門的な検査が欠かせません。

整形外科が一般的な受診先ですが、手や腕のしびれは頸椎や手根管など複数の原因が絡む場合も多く、画像検査だけでは見落とされるケースもあります。改善しない場合は、神経の滑走性や関節機能に詳しい施術者への相談も選択肢に入れてみてください。

レントゲンやMRIに異常が映らない神経の滑走低下や筋肉の過緊張が原因の場合があります。画像では見えない機能的な問題がしびれや痛みを引き起こしていることは珍しくなく、症状が続く場合は別のアプローチが有効なことがあります。

湿布や鎮痛剤は炎症や痛みを一時的に抑えるものであり、神経を圧迫している筋肉の緊張や滑走低下という根本原因には直接働きかけません。そのため症状が繰り返しやすく、いつまでも改善しないと感じる方が多いのです。

多くの場合、保存療法で改善が期待できます。神経への圧迫を生じさせている筋肉の緊張を根本から解消し、神経の滑走性を回復させるアプローチが鍵となります。27年・延べ10万人以上の臨床経験から、手術なしで改善された方を数多く拝見してきました。

完全な中止は必須ではありませんが、一定時間ごとに休憩を挟み、前腕のストレッチを行うことが重要です。
症状が強い時期は作業時間の短縮と正しい姿勢の見直しを優先し、負担を減らしながら治療を並行して進めることが改善を早めます。

症状の程度・発症からの期間・生活習慣によって個人差がありますが、適切な治療を継続することで多くの方は数週間から数か月で改善の実感が得られます。慢性化するほど回復に時間がかかるため、早期の対処が大切です。

痛みやしびれが軽減し、前腕を使う動作で支障がなくなった段階で徐々に再開が可能です。再開後も負荷のかけすぎに注意し、再発予防のためのセルフケアを継続することが重要です。焦らず段階的に戻していくことが、長く楽しむための近道です。