投稿者「yasui」のアーカイブ

貧血について

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、貧血についてです。

栄養が不足することで起きる貧血とは?

貧血は、栄養が不足することで起きることがあります。なかでも一番多くみられるタイプが「鉄欠乏性貧血」です。貧血の70~80%が、鉄分が欠乏するために起きる貧血だといわれています。
血液の赤血球に含まれているヘモグロビンは、鉄を含むヘムという赤い色素とたんぱく質が結合してできており、このヘモグロビンが酸素を全身に運んでいます。また、代謝で産生された二酸化炭素を肺まで運んでいるのもヘモグロビンです。しかし鉄分が不足するとヘモグロビンの生成が減少し、体のすみずみまで酸素を届けることができなくなってしまいます。こうして貧血が起こると、全身倦怠感や動悸、息切れ、食欲不振などの症状が現れます。心臓は大量の血液を流して酸素不足を解消しようと、鼓動を早くします。呼吸が激しくなるのも、酸素を体に取り入れようとするためです。このように、肺や心臓に負担がかかるだけでなく、心臓肥大につながってしまうこともあるのです。
鉄欠乏性貧血は、鉄分不足の偏った食事や過度なダイエットで引き起こされることがあるほか、病気などによる出血でも起こります。また、胃腸での鉄分の吸収に問題があるときに起こる場合もあります。

赤血球は骨髄で生成されますが、最初に赤芽球という赤血球のもとになる母細胞が作られ、それが細胞分裂することで作られていきます。このときに必要となるのが、葉酸やビタミンB12といったビタミンです。葉酸やビタミンB12が不足すると赤芽球の細胞分裂がうまくいきません。その代わりに巨赤芽球という大型の赤芽球ができてしまい、赤血球が増えずに貧血となってしまうのです。これを「巨赤芽球性貧血」といいます。
バランスのとれた食事をしていないことが大きな原因と考えられるほか、大量の飲酒でもこのタイプの貧血を引き起こします。また、胃腸の障害で食事からビタミン類を十分に吸収できない場合にも、このタイプの貧血が起こります。なお、現在ではこのタイプの貧血に対しては、葉酸やビタミンB12を投与するなどの治療法が確立されていますので、過剰な心配をする必要はなさそうです。

病気などによる出血の場合は別ですが、貧血気味という程度の状態なら、毎日の食生活の改善などで解消できる場合がほとんどです。
鉄分は、食事で摂ったもののうち10%程度しか体内に取り込まれないといわれるほど、吸収されにくい栄養素です。そのうえ、ほかの栄養素が不足すると吸収率は上がりません。そのため、鉄分を多く含む食品以外にも、バランスのとれた食事を考える必要があります。
また、鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄を多く含む食品はレバーや肉、魚類です。一方、非ヘム鉄は野菜や豆類、海藻、卵などに含まれています。ヘム鉄は非ヘム鉄より体の吸収率が高く、牛肉の鉄分の吸収率は約20%です。それに対して非ヘム鉄の吸収率は10%以下のものが多いのですが、動物性食品やビタミンCなどと組み合わせることで、吸収率が向上するといわれています。
葉酸は、緑黄色野菜やかんきつ類などの果物に多く含まれています。また、ビタミンB12は肉や魚類、卵、乳製品など動物性食品に含まれています。つまり、「貧血気味だから鉄分を補給しよう」とレバーや魚ばかりを食べるのではなく、野菜や果物を含め、食品の種類を増やすことがポイントといえそうです。

女性に貧血の人が多くみられるのはなぜ?

血液中の赤血球数の基準範囲は、男性が400万~539万/μℓ、女性が360万~489万/μℓで、ヘモグロビンは男性が13.1~16.6/㎗、女性が12.1~14.6/㎗とされています。そして赤血球に関しては男性359万/μℓ以下、女性329万/以下、ヘモグロビンに関しては男性11.9/㎗以下、女性10.9/㎗以下が異常とされています。
ヘモグロビンに関して異常とされる割合は、男性が約3.4%、女性が約5.8%ですが、基準範囲未満で要注意とされるグレーゾーンまでを含めると、男性は約10%なのに対して女性は16%を超えており、女性の方が貧血になる危険性が高いことがわかります。
血液の中の赤血球は、健康な人でも約120日たつと脾臓で分解されます。赤血球の割合を正常に保つためには、毎日一定の量がつくられなければなりません。しかし女性の場合は毎月月経で血を失うため、貧血につながりやすいと考えられます。

女性は初経から閉経までの期間のうち、約10%程度が鉄欠乏性貧血状態にあるといわれています。また、妊娠や授乳によっても、体内の鉄分が減少しがちになります。さらに過多月経の場合には、その割合はもっと増えてしまいます。過多月経の主な原因は子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮体がん、子宮頸がんなどですが、なかでも一番多くみられるのは子宮筋腫です。

子宮筋腫は良性潰瘍によるもので、一般的に20~35%程度の女性にみられるといわれています。子宮筋腫には女性ホルモンの一つであるエストロゲンが関係しているということはわかっていますが、発生する原因はまだ解明されていません。ちなみに初経前の年齢にはほとんど見られず、閉経後の年齢でもあまり多くはありません。
子宮内膜ポリープは、エストロゲンが過剰に分泌されることによって子宮内膜が異常に増殖して発生すると考えられています。子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮筋層にできてしまったものです。これも女性ホルモンが関係している可能性があるとされる病気で、30~40歳代の女性に多くみられます。
過多月経の原因を明らかにすることは、その後の健康に大きくかかわってきます。だから過多月経の場合はもちろん、月経痛がある、おりものが見られるなどといった症状がある場合には、婦人科を受診しましょう。「妊娠していないのに婦人科を受診していいの?」という疑問を感じる必要はありません。これらの不安を解消するために、専門医がいるのですから。

ちなみに鉄分が不足していると、肌や髪の状態にも影響が出ます。紫外線を浴びると体内に活性酸素が発生して肌にシミができることがありますが、活性酸素を消去する酵素「カタラーゼ」の生成には鉄分が必要です。つまり鉄分が不足すると、肌にシミができやすくなってしまうのです。また、目の下にクマができるのも、鉄分不足が原因の一つです。鉄分が不足して、血液が酸素を十分に補給できないため血行不良が起きてしまうからです。さらに、髪のツヤがなくなったり抜け毛が増えるのも、鉄分不足が原因ともいわれています。貧血気味という程度であっても、鉄分を十分に補給する必要があるのです。

3015人の日本人女性を調べたある研究では、鉄欠乏性貧血の人が8.5%、貧血のない鉄欠乏の人が41.8%、健康な人が43.6%、その他が6.5%という結果が出ています。つまり、約半数の女性に何らかの鉄欠乏が見られたというのです。貧血の症状に至っていなくても、体にさまざまな不調をきたすことは十分に考えられます。

飲酒について

0mL缶1本

  • ワイン(12%)なら ……………………ワイングラス少なめ2杯(約200mL)
  • 日本酒(15%)なら ……………………1合
  • 焼酎(25%)なら ………………………0.5合
  • ウイスキー・ジンなど(40%)なら…ダブル1杯

( )はアルコール濃度

ふだんの飲酒量と照らし合わせて、表のめやすより多く飲んでいる人は、これを機にぜひ節酒を心がけましょう。ただし、これは男性の場合の基準です。女性はアルコール分解速度が男性より遅い傾向があるため、さらに少ない量に抑えることが推奨されています。65歳以上の人やお酒で顔が赤くなりやすい人も同様です。もちろん、この基準はもともとお酒を飲まない人やお酒が苦手な人に飲酒を勧めるものではありません。

上手なお付き合いでお酒を「百薬の長」に

大量飲酒が健康を害する一方で、日本を含め、先進国の男女を対象とした複数の研究では、少量の飲酒習慣のある人は、お酒を飲まない人よりも、むしろ狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった血管病や、2型糖尿病などの発症リスクが低く、飲酒と死亡率の関係をみても、少量のお酒(日本酒に換算して1合未満/日)を飲む人で、最もリスクが低くなることが知られています。
これは、少量のアルコールが、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させたり、血液を固まりにくくさせたり、血糖値を低下させたりする、お酒の持つよい側面が現れた結果です。お酒がしばしば「百薬の長」と言われるゆえんでしょう。上手なお付き合いで、お酒を“良薬”にしたいですね。

休肝日を設けて酒量の調節を

とはいえ、宴席でお酒を控えるのは、時に難しいこともあるでしょう。“休肝日”を決めるなど、1週間単位で酒量をコントロールしていくことも、結果的に節酒につながります。
また、飲むときはペースに気をつけて、適度につまみをとりながら、ゆっくり楽しく飲むようにすることも節酒に役立ちます。
(妊娠・授乳期の飲酒は控えましょう。また、治療中の病気や持病のある方は、飲酒について医師の指示に従ってください。)

冬の水分補給

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、冬の水分補給です。

職場でも家庭でも何かとあわただしい師走。唐突ですが、最近水分補給していますか?夏場は熱中症対策などでせっせと水分を補給していたのに、涼しくなってからというもの、あの熱心さはどこに行ってしまったのでしょうか?

人間の体の約60%は水分です。毎日食べ物や飲み物などから2~2.5リットルの水分を摂取し、尿や便、汗などで同じくらいの量の水分を体から排出しています。これは季節が変わってもあまり変化ありません。なのでこの時期、熱中症の危険は去りましたが、水分補給の重要性は夏場と変わってはいないのです。

風邪対策に水分補給

寒くなってきてからというもの、職場で、街中で、風邪を引いている人をよく見かけるようになりました。風邪対策の王道であるうがい、手洗いに加えて「水分補給」も大事な予防策のひとつです。風邪やインフルエンザの原因となるウイルスは、乾燥した状態で活発に活動します。反対に湿度50%以上になると活動が急激に低下します。水分補給は喉や鼻の粘膜をうるおしてウイルスの侵入を防ぐと同時に、侵入したウイルスを痰や鼻水によって体外に排出する作用を助けます。また、風邪をひいてしまったら発熱や食欲低下、下痢、嘔吐などの症状により体からの水分排出が多くなりますので、普段以上にきちんと水分を補給するようにしましょう。

脳卒中、心筋梗塞予防に水分補給

冬場には脳卒中や心筋梗塞の発症が増えます。これは寒くなって血圧が上昇することも一因ではありますが、水分補給も大いに関わっています。寒くなって汗をかかなくなり、のどの乾きを自覚しにくくなる冬場は水分摂取が少なくなります。水分摂取が少ないと、血液の粘度が上がり、いわゆる「ドロドロ」の状態となります。ドロドロ血液によって血管が詰まりやすくなり、結果として脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性が高くなります。
脳卒中、心筋梗塞予防のためにも、冬場も水分補給!です。

忘年会・新年会に水分補給

この時期、忘年会や新年会など飲酒の機会が多くなります。お酒を飲むと喉が渇くことは多くの方が経験されていると思いますが、アルコールには利尿作用があるため、飲酒が過ぎると体は脱水状態となります。アルコールを飲んだら意識的に水分を補給して、脱水状態を防ぎましょう。また日本酒造組合中央会では、悪酔いをしないとして飲酒の合間に水分を取る「和らぎ水」を勧めています。一年の疲れをお酒で流しても、水分補給をお忘れなく。

肝臓について

こんにちは安井鍼灸整骨院です。今回は、肝臓です。

“沈黙の臓器”といわれる肝臓

肝臓は、人間の体の中で最も大きな臓器といわれています。たんぱく質・脂質・糖質などの栄養素を体内で使える形に変えて蓄える「代謝」、薬・アルコール、老廃物などの有害な物質を分解して無毒化する「解毒」、脂質の消化・吸収を助ける働きのある「胆汁の生成と分泌」などの役割があります。
このように肝臓は重要な役割を担っていますが、何らかのダメージを受けていたとしても自覚症状が現れにくいため、「沈黙の臓器」ともいわれています。そこで、健診を受けて肝臓の異常を早期発見することが重要になります。
肝機能の数値に異常があっても症状がないからといって放置すると、肝炎や脂肪肝から、肝臓が硬くなり肝機能が低下する「肝硬変」、さらには「肝臓がん」へと進行することもあります。

肝臓の大敵はウイルス・アルコール・肥満

肝臓にダメージを与える大きな要因として、「肝炎ウイルス」「アルコール」「肥満」があります。

・肝炎ウイルス

日本人の肝臓の病気の主な原因となっているのは、肝炎ウイルスの感染によるB型肝炎とC型肝炎です。近年、ウイルス性肝炎の治療法が進歩し、早期発見して適切な治療を受けることで、進行を抑えたり、治すことも可能になってきました。「肝炎ウイルス検査」を一度も受けたことがない人は必ず受けましょう。

・アルコール

お酒の飲み過ぎが長期間続いていると、アルコールを分解する肝臓に負担がかかり続け、肝臓の病気が起こりやすくなります。多くは、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積する「アルコール性脂肪肝」になり、お酒を飲み続けていると腹痛・発熱・黄疸などの重篤な症状があらわれる「アルコール性肝炎」になり、死亡するケースもあります。さらに進行すると、肝硬変となり、肝臓がんのリスクが高まります。

・肥満

肝臓の病気というと“お酒の飲み過ぎ”と思いがちですが、お酒を飲まない人も注意が必要です。肥満・食べ過ぎ・運動不足などにより、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積する「非アルコール性脂肪肝」が起こります。「非アルコール性脂肪肝」から肝臓に炎症が起こった状態の「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)」になると、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクが高いことがわかっています。

肝機能を改善する生活習慣

食事でとったエネルギーが消費量を上回ると、肝臓で中性脂肪が多く作られ、脂肪肝になりやすくなります。肝機能を改善するためには、肥満につながる食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足にならないように心がけることが大切です。

糖尿病について

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、糖尿病についてです

知ろう!血糖値のこと、糖尿病のこと。11月14日は世界糖尿病デー

「血糖値が高めだって言われちゃったよ」――健康診断のあとに、そんな会話を交わしたり耳にしたりしたことはありませんか?

 血糖値とは、血液中のブドウ糖(血糖)の量を表す数値です。人の体は、血糖をエネルギー源として活動していますが、エネルギーとして利用しきれないと高血糖の状態になります。血糖値は食事や運動などにより変動しますが、高血糖の状態が続くのが「糖尿病」で、その数は予備群を含めると今や全国で推計2,000万人以上。世界的にも4億人以上の人が糖尿病を抱えており、その数は増加の一途を辿っています。

そのため、WHO(世界保健機関)とIDF(国際糖尿病連合)は、11月14日を「世界糖尿病デー」と定め、糖尿病の予防、啓発活動を行っています(日本でもこの日を含む1週間が「全国糖尿病週間」とされています)。この機会に、ご自身やご家族の血糖値のこと、糖尿病のことを少し考えてみましょう。

なぜこわいの? 「血管病」としての糖尿病

糖尿病がこわいのは、血糖値が高くても、初期にはほとんど自覚症状がないことです。そのため、健康診断などで「血糖値が高め」と指摘されても、ついそのままにしてしまいがちです。しかし、血糖値が高い状態が長く続くと、やがて全身の血管が傷んで、様々な血管の病気を招きます。つまり糖尿病は「血管病」とも言えるのです。

 糖尿病によって生じる血管病には、細い血管がもろくなって生じる「細小血管症」と、太い血管が硬く狭くなることで生じる「大血管症」があります(表1)。たとえば腎臓の血管が傷つくことで起こる「腎症(糖尿病腎症)」は細小血管症で、成人の人工透析導入理由の第一位となっています。人工透析が必要になれば、多くの場合、週3回・1回4時間程度を透析施設のベッド上で過ごすことになり、日常生活に大きく影響します。

表1 糖尿病によって引き起こされる血管病

  • 細小血管症:慢性的に血糖値が高い状態が続くことで、腎臓の糸球体や眼の網膜などの細い血管が影響を受ける

→腎臓の病気(腎症)、眼の病気(網膜症)、末梢神経の障害により、足のしびれや痛み、たちくらみや排尿障害が起こる(神経障害)

  • 大血管症(大血管障害):慢性的に血糖値が高い状態が続くことで、動脈硬化が進みやすくなり、太い血管の病気につながる

→狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などのリスクが高まる

→神経障害に加えて足の血管の動脈硬化が進むと、痛みを感じにくいため、足にできたちょっとした傷も、時に潰瘍や壊疽(組織が死んでしまうこと)が起こり、足の切断が必要になることもある

「健康寿命をのばそう!」

糖尿病は命にかかわる病気ではないと思われがちですが、糖尿病の人は、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な大血管症を起こしやすくなります。

糖尿病は予防できる!

糖尿病にはいくつかのタイプがありますが、日本人に圧倒的に多く、全体の90%以上を占めるのは、生活習慣が深く関係して起こる「2型糖尿病」と呼ばれる糖尿病です。このことは、食事の内容や運動不足の解消など、生活習慣を見直すことで予防・改善が期待できることを示すものでもあります。

 肥満やメタボリックシンドロームは糖尿病を発症しやすくするため、過食を避けてバランスのよい食事を心がけ、手軽に始められる運動を習慣化して、適正な体重を維持しながら、血糖値も適正な状態に保っていきましょう。

また、血糖値が高めと指摘されたり、表2のような症状に心当たりがあれば、早めに医療機関に相談しましょう。今までの食習慣や生活のスタイルを変えるのは簡単なことではありませんが、早め早めに対処することが、糖尿病を予防したり悪化させないために一番大切なことです。医師と相談し、自分に合った無理のない方法で予防・改善を目指しましょう。

表2 糖尿病が疑われる症状

  • 尿の量やトイレの回数が多くなる
  • のどが渇きやすく、すぐ水分を摂りたくなる
  • 疲れやすくなる
  • しっかり食べているはずなのに体重が減少する

→血糖値が高めで、これらの症状に複数心当たりがあれば、一度医師に相談してみましょう

※症状がはっきりと現れない人もいます。 

肩こりについて

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、肩こりについて書きたいと思います。

肩こりは首や肩の周囲の筋肉が極度に緊張、疲労することにより、血液循環が悪くなるために引き起こされます。筋肉は太い1個の塊(かたまり)のように見えますが、じつは数百、数千といった筋線維(せんい)がまるで袋に入ったそうめんのように集まっていて、その中に血管や神経が通っているのです。

筋肉は弛緩(しかん)と緊張(収縮)を交互に繰り返しており、弛緩するとき栄養や酸素をたっぷり含んだ血液を取り込み、緊張するときには筋肉の運動で生じた老廃物を静脈の流れに捨てるという作業を行っています。ところが、長時間同じ姿勢をしているなど、緊張だけが長く続くと、筋肉はパンパンに腫れ上がり、中を走っている毛細血管が圧迫されて、うっ血が起きます。そうすると新鮮な血液が筋肉に行き渡らなくなり、うっ血した血液の中に老廃物がどんどん溜まってしまいます。

この溜まってしまった老廃物がこりや痛みを引き起こす発痛物資になります。しかも、そのままにしおくと、この発痛物資がさらに筋肉の緊張を高めてしまうので、症状がさらに悪化します。

肩こりを起こしやすくしている要因は、3つ考えられます。その1つは、体格です。たとえば、なで肩や首が細く華奢(きゃしゃ)な人は首や肩の筋肉が弱いために、筋肉疲労を起こしやすいのです。腕をぶらりと下げていると腕の重さで肩が下のほうに引っ張られて、肩の筋肉は緊張します。机やテーブルの上に肘をつくか、肘掛け椅子に座るようにすると、だいぶ肩の緊張は和らぎます。

2つ目の要因は姿勢です。デスクワークや手芸などで長時間猫背の姿勢でいると、肩や首の筋肉が緊張するので肩こりが起きやすくなります。長時間の作業の場合は、ときどき姿勢を整え、ストレッチ体操をするといいでしょう。

3つ目の要因はストレスです。ストレスを感じ続けることで、肩や首の周りの筋肉が常に緊張して肩こりを引き起こします。多くの人の肩こりは多かれ少なかれストレスが関与しています。適当な息抜きと就寝前にぬるめの湯にゆったりとつかって、全身の筋肉をリラックスさせることも効果的です。

眼精疲労について

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、眼精疲労について書きたいと思います。

眼精疲労とは

眼精疲労とは目に充血や痛みなどが起こり、視界がかすみ・ぼやける、まぶしさを感じるなどの症状がおこります。これが悪化すると目の症状だけではなくきつい肩や首の凝りがおこり、ときにはめまいや吐き気など全身疾患の状態を感じることもあります。
このような症状が、十分な休息をとっても回復しないものが眼精疲労で通常の疲れ目とは区別して考えます。
近年では、パソコンなどのディスプレイ作業が増え、近い距離にピントをあわせるために目の筋肉を使い続けてしまうことに起因する眼精疲労も増加しています。
ただの疲れ目と侮っていると、体だけではなく心にまで影響を及ぼすこともあります。目になかなか治らない疲れを感じたら、早めに眼科を受診するようにしましょう。

眼精疲労の症状

眼精疲労では、疲れ目と同じような目の症状のほか、全身におよぶ体の症状も現れます。以下のような症状が代表的なものです。

目の症状

  • 目がしょぼしょぼとする、目が重くなる、目の奥が痛む
  • 目がかすんだりぼやけたりする、視点を移動したときすぐにピントがあわない
  • 目が充血する
  • 目が乾く
  • 普段よりまぶしさを感じる

体の症状

  • 肩や首が凝る
  • 頭痛がする
  • けだるい(倦怠感)
  • めまいやふらつきがある
  • 吐き気がする

眼精疲労の原因

目の使いすぎによる疲れ目とは異なり、眼精疲労はさまざまな要素がからみあっておこっていることがあります。
代表的な原因としては、目の病気、体の病気、眼鏡やコンタクトに由来するもの、生活環境やストレスなどが考えられます。

目の病気

眼精疲労をおこしやすい目の病気には次のようなものがあります。

ドライアイ

目の表面のうるおいをたもつ涙の量が減ったり、成分バランスが変化したりすると目の表面が乾燥し、傷がつきやすくなり感染症を起こしやすくなることもあります。
こうしたドライアイのさまざまな症状は眼精疲労の原因となりやすいといわれています。実際に眼精疲労の患者さんの6割にドライアイの症状があるとする統計もあります。

白内障

網膜に像を結ぶレンズの働きをする水晶体が、加齢などによって白く濁ってしまうのが白内障です。濁りによって生じる見えづらさや、光が乱反射してしまうことによるまぶしさなどで眼精疲労を起こすことがあります。また白内障の手術では濁った部分を取り出し目の中にレンズを置きますが、それによって手術前の見え方から変化がおき、その落差によって眼精疲労がおきることもあります。

緑内障

眼圧が許容範囲を超えて高くなり視神経や網膜などに障害が発生し、だんだん視野が狭まってしまい、悪くすると失明に至ってしまうのが緑内障です。
視野が障害されている部分をむりやり補おうとしたり、副次的に発生する頭痛などの影響を受けたりすることによって眼精疲労がおきることがあります。

眼瞼下垂

まぶたを開くための眼瞼挙筋という筋肉の末端にある腱膜が加齢やコンタクトレンズの使いすぎなどによりゆるんでしまい、まぶたが垂れ下がったまま上がりにくくなる病気です。視界が狭くなりものが見えにくくなるため、無意識のうちにまぶたを開こうとして力がはいってしまったり、上目遣いになったりする負担から眼精疲労をおこすことがあります。

屈折異常等

屈折異常とは、近視や乱視、遠視、老視などのことです。これらの症状による負担で眼精疲労がおこります。また左右の目が違った方向を見てしまう斜視などでもおこることがあります。

老視

いわゆる老眼です。水晶体はある程度の弾力性があり、毛様体と呼ばれる筋肉繊維の働きによってその厚みをかえてピント合わせをしています。しかし加齢とともに水晶体の弾力性が失われてくるとピント調節機能が低下してしまいます。こうして近くのものが見えにくくなり眼精疲労をおこします。また、度数の合っていない眼鏡やコンタクトレンズを使っていることでも、眼精疲労をおこしてしまうことがあります。

体の病気

風邪やインフルエンザ、虫歯などの一時的な病気、高血圧や糖尿病、副鼻腔炎や歯周病といった慢性的な病気、更年期障害などから頭痛や目の奥の痛みが発生し、眼精疲労につながることがあります。

眼鏡やコンタクトレンズ

眼鏡やコンタクトレンズ近視や乱視が進行したり、老視などによって見え方に変化がおきたりして、合わなくなった眼鏡やコンタクトレンズを使い続けることで眼精疲労がおこることもあります。
また、左右の視力が大きく異なっている場合には眼鏡の矯正では左右の像の大きさが異なってしまうことがあり、これによっても眼精疲労がおこります。

生活環境

生活環境近年、仕事でパソコン作業が長く続くことがあたりまえになってきています。また仕事以外でもスマートフォンなどを見続けることによって、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群と呼ばれる症状をおこす人が増えてきています。
また、エアコンがあたりまえの環境のなかで、エアコンの風に直接あたり続けることによって目が乾燥しドライアイの症状がおこることもあります。
こうした生活環境で適切な休憩などをとらないと眼精疲労をおこすことがあります。

精神的ストレス

現代は対人関係などが複雑化し、精神的なストレスを抱え込みやすい時代になっています。
過度にストレスをうけると、心の鬱屈から筋肉がこわばってしまったり、血流に影響がでたりすることもあります。こうした症状からも眼精疲労をおこすことがあります。

眼精疲労の対策

まずはきちんと睡眠時間をとること、食事内容が偏らないようにすることなど、めりはりのある規則正しい生活を送ることが大切です。
また、照明やエアコンなどに配慮し、パソコンやスマートフォンを使用するときに設定や時間などに配慮することなど、生活環境を整えることで眼精疲労を軽減していくことは可能です。
ただ、現実に症状がおこっており、目や心身に大きな負担がかかってしまっているときには、お気軽に眼科にご相談ください。専門家による治療や指導は疲労改善のために大きく役立ちます。
眼精疲労を起こしているかどうかについては次の3つのチェックポイントにしたがって判断し、適切な処置を講じた上で快適な生活をとりもどしましょう。

病気がないかのチェック

眼精疲労は目の疲れだけではなく、重篤な目や体の病気に起因していることがあります。
症状に気づいたらまずは眼科医に相談しましょう。検査や診察などによって目の病気が発見されたら、その病気を治療することによって眼精疲労をおこしている原因をとりのぞくことができます。眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正不良についても適切なアドバイスができます。そして適正な度数の眼鏡やコンタクトレンズを処方します。
診察によって目以外の病気が発見された場合は眼科医から適切な病院を紹介してもらうようにしましょう。

生活環境の改善

生活環境の改善エアコンや送風機などの風が直接目にあたる場合は、席の移動で対応しましょう。席の移動が難しいオフィスなどでは、直接風が顔にあたらないよう、風よけなどをデスクにたてるのも有効な手段となります。
また、パソコン作業などでは、まずは適切に休憩時間をはさむようにし、姿勢が正しくなるようイスの高さを調整することも大切です。その際クッションなどを挟み座面の高さを微調整するのも有効です。
ディスプレイは高い位置ではなく、少し見下ろす程度の高さに設置し、ディスプレイやパソコンなどの設定でコントラストや輝度を下げるなど目に優しいモードにします。またOSやアプリなどソフトウェアを目に優しいダークモードに設定することでも目の負担が大きくかわります。ディスプレイに室内照明があたって見えにくくなっているケースもありますので、その場合はディスプレイの方向を変えてみましょう。少し角度をかえるだけで照明による乱反射が低減されます。
また日常生活においては、意識的にまばたきを増す、目の視線を変える体操をするなどで目の潤いを保ち、緊張をゆるめることも大切です。

ストレスの解消・緩和

現代人はストレスからなかなか逃れられない生活を送っています。しかし、日常のちょっとした工夫によって、ストレスによる症状を大幅に軽減することが可能です。
たとえば、毎日入浴してリラックスする、休日や早めに仕事が終わった日にはジムやスポーツなどで思い切り汗を流すなどで、日ごとの鬱積を解消し、週ごとにリセットすることなどが有効です。
また仕事や趣味でパソコンやスマートフォンなどを長く使う場合も、イスに座ったままでも良いので、こまめに体を動かしストレッチをするなどで気分は大きくかわるものです。
それでも、重くストレスがのしかかり、なかなか解消できないようであれば、専門医やカウンセラーに相談し、治療や指導を受けることも大切です。
ストレスが軽減・解消することによって目の症状も自然と軽減されてくるものです。

あぶらについて

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、あぶらについてです。

あぶらには、いろいろな種類があります

脂質は貴重なエネルギー源

 あぶらは、「太る原因」、「ダイエットの敵」など、健康にとって良くないイメージを持つ人もいるかもしれません。もちろん、食事の欧米化により摂取量が増えたことで問題視されることも多いのですが、脂質はたんぱく質や糖質とともに3大栄養素の一つです。

 脂質は、体に蓄えることができる貴重なエネルギー源であり、たんぱく質や糖質の2倍以上のエネルギー値をもっています。細胞膜やホルモンなどの主要な成分でもあり、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)やβ-カロテンやリコピンなどカロテノイドの吸収を助けるといった、体に不可欠な役割を担っています。

脂質は大きく2つに分けられる

あぶらは、常温で固体になる「飽和脂肪酸」と、常温で液体になる「不飽和脂肪酸」の大きく2つの脂肪酸に分けられます。バターやラード、肉のあぶら身、ココナツオイルなどが飽和脂肪酸の代表的なものです。一方、植物や魚のあぶらに多く含まれるものを不飽和脂肪酸といいます。不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。

オリーブオイルやひまわり油などに多く含まれるオレイン酸は一価不飽和脂肪酸で、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを下げる効果があります。多過不飽和脂肪酸には、エゴマ油やアマニ油、青背の魚などに含まれるn-3系脂肪酸とコーン油やごま油などに含まれるn-6系脂肪酸があります。

健康のためにとりたいあぶらは?

n-3系脂肪酸(オメガ3)を積極的に摂取しましょう

 最近、体にいいあぶらとして注目されているのが、n-3系脂肪酸のオメガ3です。

オメガ3には、脳内の情報伝達を活性化し、記憶力や物忘れの改善などへの効果が期待できます。また、血管をしなやかに保ち、LDLコレステロールを減らすなどの働きがあるため、生活習慣病を予防する効果も期待されています。DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が代表的なオメガ3で、マグロやイワシ、サバなどの青背の魚に多く含まれます。魚類のほかに、エゴマ油やアマニ油などの食用油、クルミなどにも含まれています。体内で合成できず、食事でとる必要があるので、魚のメニューを増やしたりする工夫をするとよいでしょう。オメガ3は、酸化しやすいので、魚を刺身やカルパッチョで食べる方法は、手軽でおススメです。また、サラダのドレッシングをアマニ油で作り、レモンや柑橘類を加えてみるなど、オメガ3を抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEと一緒にとるようにするのもよいでしょう。

あぶらは、質と量のバランスが大事

一日に摂取するあぶらの目標値は、総摂取エネルギー量の約20~30%となっています。この30%を超えて摂取している人の割合は、年々増える傾向にあります。食事の際は、揚げ物、炒め物といった、油を多く使う料理ばかりに偏ったりしないよう、組み合わせに注意するようにしましょう。

健康のために、とりすぎを避けたいあぶらもあります

食材の選び方や調理法などに注意し、あぶらの摂取量を抑えましょう

体に不可欠なあぶらですが、とり過ぎには注意が必要です。肉類は食材そのものにあぶら(飽和脂肪酸)が含まれており、とり過ぎると血中のコレステロールや中性脂肪が増え、動脈硬化の原因となるので、肉は種類や部位を選び、あぶらの摂取量を抑えるようにしましょう。牛肉や豚肉ではバラや肩ロースにあぶらが多く、モモやヒレの方が少なめです。鶏肉の場合は、モモよりムネ、さらにムネよりササミの方があぶらは少なめです。ハムやベーコンなどの加工食品はさらにあぶらの割合が高くなるため、注意しましょう。また、揚げるよりは焼く、焼くよりは煮る・蒸すといった調理の方があぶらを減らすことができます。

加工食品に多い、見えないあぶら

あぶらを適量に抑えるために、もうひとつ知っておきたいのが「見えないあぶら」です。食事から摂取するあぶらは、調理に使用する油やバターなど、「目に見えるあぶら」がおよそ2割強です。残りの8割弱は、「見えないあぶら」です。見えないあぶらは肉、魚、乳製品など食材そのものに含まれる脂肪分や、加工食品、インスタント食品、パンや菓子類などに含まれており見落としがちです。この見えないあぶらは、健康のためにもとりすぎを避けたいあぶらといえます。食品を購入するときには、「栄養成分表示」を見て脂質の量を確認する習慣をつけましょう。

 

猫背について

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、猫背について書きたいと思います。

不調の原因に「猫背」かもしれません。

 姿勢は第一印象を決める重要な要素。姿勢がいいだけで「明るい」「信頼できる」「前向き」といったポジティブな印象を与えることができます。一方、姿勢が悪いと見た目が悪いだけでなく、肩こりや首こり、腰痛の原因になり、呼吸が浅くなって全身の血行が悪くなるなど、健康にもさまざまな悪影響があります。
悪い姿勢の典型は「猫背」。猫背とは、首が前に突き出して背中が丸まった状態のことです。人の頭の重さは約6kg、Lサイズのスイカほどもあり、寝ている時以外はこの重量を背骨が支えています。頭が背骨の真上にあれば背骨全体で支えられますが、猫背になると骨だけでは支えきれず、骨をサポートする筋肉に負担がかかって、こりが生じるのです。
また、首は脳と他の部位をつなぐ重要な場所で、多くの神経が通っています。猫背になって首の筋肉がこると、そばを通る神経が圧迫され、頭痛になり、やる気が出ない、イライラするなど精神的な不調につながることもあると言われています。
猫背は、生活習慣や、心理的な要因から引き起こされるものがほとんどです。例えばパソコン、携帯電話やスマートフォンを長時間見るなどの積み重ねが猫背につながります。とはいえ、自分が猫背かどうか自覚のない人も多いもの。まずは下記の項目をチェックしてみましょう。一つでもあてはまれば猫背の可能性があります。

あなたは猫背?チェック

✅ 座っている時、気づくと背中が丸まっている
✅ 背中、首、肩がこりやすい
✅ パソコンに向かう時間が長い
✅ スマートフォンや携帯電話をいじっていることが多い
✅ 車を運転すると腰や肩が痛くなる 

まずは首をまっすぐにする

最近、猫背の人が増えているのは、パソコンやスマートフォン・携帯電話を長時間見る生活が一般的になってきているのが要因の一つ。通常、これらの画面を見る時はうつむき加減になり、画面を見るために少し首を前に出します。これは見事な猫背の姿勢。こうした「IT猫背」になりやすい環境の人は、生活の中でうつむいている時間を極力少なくすることが大切です。

ツボ・中府(ちゅうふ)‥‥‥胸の筋肉をほぐし、背筋を伸ばしやすくする

c

d

「中」は横隔膜からおへその間の腹部を、「府」は漢方医学で言うエネルギーの元である「気」が集まる場を意味します。腹部から上に向かう気が集まるのが中府です。胸の筋肉の緊張を和らげてほぐし、胸を張った姿勢をとりやすくし、血流やリンパの流れを促します。

<位置>

鎖骨の下を外側に向かってなぞり、突き当たる部分からなか指の幅分ほど下のくぼみ。左右にあります。

<ツボの刺激法>

左手のなか指で右のツボを、また、左手で右の二の腕をつかむようにしておや指の腹で押します。左右の手を替えて両方のツボを交互に、ひと押し10~20秒ほどを3~5回、繰り返しましょう。行います。

口唇ヘルペスについて

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、口唇ヘルペスについてです。

【1】口唇ヘルペスの原因は?

口唇ヘルペスの原因は、「単純ヘルペスウィルスⅠ型」というウィルスです。このウィルスは、感染力が強く、直接的な接触のほかにも、ウイルスの付いた食器などを介しても感染の恐れがあります。そのため、親子や、夫婦など、親密な間柄で感染することが多く、これが俗称「愛のウィルス」の所以です。初めて単純ウィルスⅠ型に感染し、その人に抗体ができたとしても、ウィルスは神経節にひそみ、何らかのきっかけで機会があれば、暴れだして、再発を繰り返すのが特徴です。再発は、年に1~2回が多いようです。通常は、再発のたびに軽症化し、水ぶくれも小さくなり、患部も狭い範囲におさまるとされています。何度も再発した人は、皮膚が赤くなる前に、唇や口の周りのピリピリ、チクチク、ムズムズといった違和感で、自分でも再発の兆しがわかることが多いようです。

【2】再発のきっかけは?

口唇ヘルペスの症状が現れやすいのは、風邪で発熱したとき以外にも、疲労、紫外線、胃腸障害、ストレス、老化、何らかの薬を服用しているときなど、体が弱っている時です。紫外線は、皮膚にダメージを与え、極端な寒さや冷たい風は、唇や口の周りの敏感な部分を乾燥させ、口唇ヘルペスの再発の引き金になります。 唇のけが(口腔部分の外傷)も、再発誘因となりえます。 また、月経によるホルモンの変化は、身体の免疫機能を弱める可能性があります。このように、体力、抵抗力、免疫機能が落ちてくると、ちょっとした刺激で潜伏しているウィルスを再び活性化させ、再発を繰り返してしまうのです。

早い時期に治療をはじめるほうが、治りも早くなります。再発の予感がしたら、あるいは、口唇ヘルペスの症状が出たら、早めに専門医へ相談しましょう。

【3】日常生活で気をつけたいこと

口唇ヘルペスでの日常生活で気をつけたいことは、①再発をおさえ、②他の人にうつさないことです。

具体的には

「①再発をおさえる」には、食事は栄養のバランスを考えてきちんと摂り、適度な運動習慣をつけ、基礎体力を高めておきましょう。ストレスは溜め込まないよう、適度な息抜きを心掛け、精神面の健康も保ちましょう。

「②他にうつさない」には

症状が出ている間は、ウィルスの量も多く、感染源になるので、人との接触に注意しましょう。相手が抗体を持っていて抵抗力がある場合には、発症しないか、発症しても軽症で済みますが、新生児、アトピー性皮膚炎の方、病気などで免疫機能が低下している方の場合には、重症化しやすいので、特に注意が必要です。自分でも別の部位に感染を広げる可能性があるので、むやみにあちらこちらに触れないように気をつけてください。患部に触れた後は手を洗い、他の人が患部に接触しないように気をつけたり、食器やタオルなどの共有は避けましょう。食器は洗剤できちんと洗い、タオルは他の洗濯物と一緒に洗って構いませんが、日光によく当てて、乾かしましょう。

それでも再発してしまったら

まずは、日頃の食生活を見直してください。

  • お食事の時間は規則的ですか?
  • お酒は適量ですか?
  • 主食、主菜、副菜が揃ったお食事ですか?

季節の変わり目、旅行に行くと必ず再発するなど、再発の原因を探り、対処方法を知ることも大切です。十分な栄養と十分な休息、これが再発防止のポイントです。