睡眠について

こんにちは。安井鍼灸整骨院です。今回は、睡眠についてです。

私たちは、毎日、覚醒(起きている状態)と睡眠(眠っている状態)を繰り返しています。では、なぜ、夜になると眠くなるのでしょうか。これには、2つのしくみが関係しています。まず、「ホメオスタシス(生体恒常性)」です。「ホメオスタシス」とは、私たちの体に備わっている体内環境を一定の状態に保とうとする働きのことです。忙しかった日や、寝不足続きの日は、眠気が一段と強まります。“疲れると眠くなる”のは、体(脳)が疲労や睡眠不足を感じると、睡眠によって体や脳を休め、回復をはかろうするしくみが働くためです。一方、前日の睡眠が十分で、それほど疲れていなくても、ある一定の時刻になれば、私たちは自然と眠くなります。これには「体内時計」が関わっています。睡眠や覚醒、体温、血圧、代謝、ホルモンの分泌、免疫機能など体内の様々な機能は、「体内時計」によって約1日の決まったリズムで調節されています。特に「体内時計」の睡眠と覚醒の調節には、睡眠を誘発する作用を持つ「メラトニン」と呼ばれるホルモンが密接に関係しています。本来は25時間周期の「体内時計」ですが、朝日を浴びることで24時間にリセットされます。また、朝日を浴びて約14時間後から再び「メラトニン」の分泌がはじまり、「体内時計」は、徐々に眠くなるように設定されています。私たちが意識していなくても、“夜になると眠くなる”のは、「メラトニン」が「体内時計」に働きかけ、夜には休息状態に切りかわるしくみがあるからです。このように、私たちの体は「ホメオスタシス」と「体内時計」の2つのしくみによって、眠くなるようになっているのです。ところが、平成23年(2011年)の国民健康・栄養調査によると、ここ1ヶ月間で、寝床に入っても寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝早く目が覚める、熟睡できないなど、眠れないことが「頻繁にあった」人の割合は、男性が13.2%、女性で13.6%。眠れないことが「ときどきあった」人と合わせると、男女ともに約半数以上を占め、快適な睡眠を得られていないことが伺えます。

なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めるなど、不眠をはじめとする睡眠に何らかの問題がある状態を総称して「睡眠障害」といいます。睡眠障害には様々なものがあり、その症状や原因も人によって異なり、多岐にわたります。一般的に、心理的原因(ストレスなど)、身体的原因(外傷、湿疹、頻尿、花粉症といった病気や症状など)、生活習慣・環境の問題(時差ボケや夜勤など)、精神面の疾患(神経症やうつ病など)、薬の服用などがいわれ、メラトニンの分泌不足もその一因として指摘されています。メラトニンの分泌量は、光によって左右され、明るいと少なくなり、暗いと多くなります。また、年齢を重ねるほど減少してくることも知られています。メラトニンの分泌を良くするには、朝日を浴び、規則正しい生活を送ること、就寝前には明るい光を浴びないこと、メラトニンの材料となる栄養素を含む食事(食品)を摂ることなどが挙げられます。食事では、アミノ酸のトリプトファンを含む良質のたんぱく質(魚・肉・卵・大豆・大豆製品など)や、ビタミンB6(まぐろの赤身・かつお・さんま・大豆・納豆・バナナなど)、ナイアシン(まぐろの赤身・鶏ささみ・落花生・玄米ごはん・干しいたけなど)、マグネシウム(ナッツ類・ひじき・大豆・納豆・生カキなど)を積極的に取り入れることがポイントです。メラトニンそのものを含む食品には、白菜やキャベツ、ケールなどの葉野菜があります。そこでおすすめは、昔ながらの和食です。例えば、朝食。典型的な日本の朝食といえば、玄米ごはん、味噌汁、焼き魚、ぬか漬けなどです。特に昔ながらの日本の朝食には、上記の栄養素がバランス良く含まれています。

玄米ごはんには、ビタミンB6、ナイアシン、トリプトファンが、味噌汁の味噌は大豆からできているため、トリプトファンが、焼き魚には、トリプトファンやマグネシウム、ビタミンB6が、ぬか漬けには、ビタミンB6やナイアシンがそれぞれ含まれています。睡眠に良いからといって、穀類だけ、豆類だけ、野菜だけを食べるのではなく、色々な食品を組み合わせてバランス良く摂ることが大切です。また、生活上のちょっとした工夫がメラトニンの分泌を高め、快適な睡眠を助けてくれます。