手足口病とは
手足口病は、その名のとおり、手や足、口内に水疱性の発疹ができるウイルス性の感染症です。主な原因となるウイルスは、コクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)です。このため、一度かかっても、また別のウイルスの手足口病にかかる可能性があります。
症状はどのウイルスに感染しても同様です。感染してから3~5日後に手のひらや足、口内に2~3mmほどの小さな水疱性の発疹があらわれます。熱は出ないことも多く、出たとしてもあまり高くなりません。特効薬はありませんが、ほとんどは特別な治療をせずとも数日のうちに回復します。
手足口病の注意点
手足口病は、通常は軽い症状で完治する病気ですが、重い合併症を起こすこともあります。髄膜炎や小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状があらわれるケースがあります。特にEV71に感染した場合、中枢神経系の合併症を起こす確率が高い傾向にあります。
また、通常手足口病にあらわれる症状が見られずに重症化することもあります。下記のような症状があらわれた場合は、注意が必要です。
- 高熱が出る
- 頭痛
- 呼吸が速く、息が苦しそう
- 発熱が続く
- 視線があわない
- 水分が摂取できず尿が出ない
- 嘔吐
- 呼びかけに応えない
- ぐったりしている、など
手足口病にかかったときは、保護者の方がお子さんの病状を注意深く観察し、おかしいと感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
予防対策
手足口病は、飛沫感染、接触感染、糞口感染で感染します。予防対策は一般的な感染症と同様、手洗いを流水と石けんでしっかり行うこと、タオルは共用しないこと、オムツ交換時排泄物は適切に処理することなどが大切です。特に、この病気にかかりやすい年齢層である乳幼児は、幼稚園や保育施設で集団生活をしているため、一人感染者が出ると、集団感染しやすいので注意しましょう。
ただし、感染しても発病しない場合と、発病後症状があらわれなくなった後でも、便などからはウイルスが排泄されているため、感染者が出た際に対策を取るのではなく、常日頃から予防対策を心がけておくことが重要です。
東洋医学における手足口病
手足口病が流行るのは、通常は6~8月の暑い盛り。その症状は、手のひら、足の裏、手や足の指と指の間、口の中にできる水疱性の発疹に、微熱、軽いのどの痛みとそれによる食欲低下(おなかはすくけど、痛みのため食べられない)。
こうしたことから考えて、手足口病は風熱邪によるものと判断できます。
手足口病には、通常は、頭痛やかゆみはなく、風熱の中で比較的軽い部類。東洋医学で考えると、風疹も風熱証に入り、こちらはちょっと重いってことになりますね。ちなみに、インフルエンザは風寒証になります。
外邪によるものは、初期の手当てがよければ、すぐに治ります。ところが、正気(元気)が弱く、抵抗力がないと、症状は急に悪化して重症化します。そして、外邪が体内深くに入り込むため、痙攣を起こしたり、意識をなくしたり、ときには死に至ることもあるのです。
外邪が入ってきたときに、熱や発疹のような症状がぱっと出るのは、正気が外邪と闘う力を持っている証拠。言いかえれば、微熱が出たとき、正気がしっかりしていて、邪気がさほど強くないために、微熱ですんでいるのか、それとも正気が弱くて熱も出せないのか。これは大きな違いです。
東洋医学で考えても、日ごろから免疫抵抗力を保つためには、養生が大切。やっぱり食事のバランスと、十分な睡眠、適度な運動、そしてストレス解消かな。
風熱証の手当てに使うツボは、合谷、曲池、大椎、風池を使用します。