腎臓の役割と腎臓病とは
腎臓の役割はとても重要で、全身から集められた血液をろ過し、血液中の余分な液体や老廃物をこして血液をキレイにしています。腎臓病とは、ろ過を行う糸球体、ろ過したものが通過する尿細管の働きが悪くなり、タンパク質など体に必要な物質が体外に漏れ出たり、有害な物質や余分な水分を体内に留めてしまったりする病気です。 腎臓病の初期は自覚症状が少なく、健康診断などの検査で初めて気がつく方が多いでしょう。ただし、夜間尿、むくみといった一般的によく見られる症状の裏に、もしかしたら腎臓の病気が隠れているかもしれません。定期的な健康診断を受け、早期発見・早期治療に繋げることが大切です。意識して初期予防を行っていくようにしましょう。

腎臓病の原因と検査項目・西洋医学の治療方法とは
腎臓病の主な種類と原因
※急性糸球体腎炎
腎臓の糸球体に一過性の炎症が起こる病気です。溶連菌感染後に起き、小児に多いとされています。
急性腎不全
何らかの原因で腎機能が急速に低下する病気です。原因によって腎臓への血流が悪くなって起こる腎前性、腎
臓自体の病気によって起こる腎性、尿管、膀胱、尿道の閉塞によって起こる腎後性に分けられます。
慢性糸球体腎炎
腎臓の糸球体に炎症が起こる疾患の総称で、IgA腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎などが含まれます。
ネフロ―ゼ症候群
腎臓の糸球体が傷つくことにより、大量のタンパク質が尿中に漏れ出る病気です。微小変化型ネフロ―ゼ症候群、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、ル―プス腎炎などによって生じます。ネフロ―ゼ症候群が進行すると、腎不全になることがあります。
糖尿病性腎症
糖尿病の合併症のひとつです。長期に高血糖が続くことで腎臓の血管が傷つき、腎臓の機能低下が起こるようになります。
腎硬化症
高血圧症が原因で腎臓の血管に動脈硬化がおこり、腎機能が低下する病気です。
慢性腎不全(CKD)
腎臓の障害や機能異常が3か月以上続き、最終的に腎不全になる可能性があるものをいいます。
腎臓病の主な検査項目
GFR値・eGFR値(糸球体濾過量)
血清クレアチニン値(Cre)
血中尿素窒素(UN)
尿タンパク
血尿
IgA抗体値
腎臓病でよくみられる症状
- むくみ・尿量の異常・夜間尿・タンパク尿・血圧の上昇
余分な塩分や水分の排泄がうまくいかないことや、体に必要なタンパク質などが体外に漏れ出たりすることで、体液のバランスや浸透圧の調整が乱れて起こる症状です。 - 脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患
カリウムの排泄がうまくいかなくなり、心血管系に影響することがあります。 - 疲れやすい・だるさ・吐き気・食欲不振・頭痛・かゆみ
老廃物を体外に出せなくなることで起こります。 - 血尿
糸球体になんらかの炎症があると、尿中に赤血球が混ざることがあります。 - 貧血・動悸・息切れ・めまい
腎臓の間質線維芽細胞からエリスロポエチンという造血ホルモンが分泌されています。エリスロポエチンは骨髄に働きかけ赤血球を増やす働きをしていますが、腎機能の低下により分泌が少なくなることで貧血症状が起こります。 - 骨粗鬆症
ビタミンDは腎臓で活性化され活性型ビタミンD3になると、小腸でのカルシウム吸収を促します。腎機能低下により必要な活性型ビタミンD3が作られなくなり、骨に影響が出ることがあります。
腎臓病の西洋医学での治療法
原因となっている病気がある場合は治療します。
慢性腎臓病の場合、生活習慣病があると腎機能の低下が早く進むことが分かっているため、塩分や糖分のとりすぎを控え、適度な運動をするなど、生活習慣の見直しを行い、腎不全への進行スピ―ドを遅らせるようにします。慢性腎臓病が末期の状態まで進むと、血液を機械に通してキレイにする人工透析や腎移植などを検討します。
腎臓病・腎機能低下のための養生アドバイス
腎臓病・腎機能低下のための食事
- 水分や塩分、タンパク質のとりすぎに気をつけましょう
- タンパク質は、魚や肉、大豆製品などアミノ酸スコアが高い良質なものにしましょう
- 炭水化物や脂質をとり、エネルギ―量が不足しないようにしましょう
- 飲み物や野菜などに含まれるカリウム・リンの摂取量に気をつけましょう
- ビタミンCやカルシウムが不足しないようにしましょう
※食事療法は個々の状態や病気の進行度により異なるため、かかりつけの医師や栄養士と相談しながら食事を選ぶことが大切です。
腎臓病・腎機能低下のための生活習慣
- 休養をしっかりとり、過労を防ぎましょう
- ストレスをうまく発散しましょう
- 肥満気味の人は適正な体重に減量しましょう
- 激しい運動はやめましょう
- アルコ―ルやタバコは避けましょう