グロインペイン症候群とは?
グロインペイン症候群はスポーツ選手に多いと言われ、特にサッカー選手での発生が多く見られます。いったん症状が出ると治癒には時間がかかることが多い状態です。ランニングや起き上がり、キック動作で鼠径部(ソケイブ)やその周辺(下腹部、坐骨部、内転筋近位部、睾丸後方)の様々な部位に痛みが出現します。
体幹から股関節周辺の拘縮や筋力低下や不自然な使い方によって、筋肉・関節の柔軟性、骨盤を支える筋力の安定性、体幹と下肢の協調性等が低下して、痛みや機能障害が起こります。
グロインペイン症候群がおこる理由
1.股関節周辺の柔軟性の低下
股関節の周囲にある筋肉や関節の柔軟性が足りず、可動域がせまい状態はグロインペイン症候群を引き起こす可能性があります。サッカーやランニングで走る動作を想像してみてください。股関節は曲げる(屈曲)・伸ばす(伸展)という単純な動作の反復をしているように見えるかもしれません。ですが、実際には股関節はわずかに回旋しながら屈曲・伸展するという複雑な動きをしています。さらにサッカーボールを蹴る動作を行う時、股関節は最大まで伸展された状態から、強い力を込めて屈曲・回旋をする必要があります。一度にこれだけ大きな範囲で動かすためには、股関節の柔軟性が必要です。股関節が硬いと周辺の機能に障害がおこりグロインペイン症候群発症の可能性が高まります。
2.筋力の低下
骨盤を支える筋力が低下することで、骨盤が不安定になり症状を引き起こすケースがあります。骨盤を支える筋肉とは、骨盤の中にある直腸や膀胱などの臓器をハンモックのように支える骨盤底筋群や、お尻の筋肉(臀筋群)・腰椎から大腿骨をつなぐ腸腰筋のことです。筋肉は関節の動きにともなって収縮と弛緩をくりかえすことで鍛えられ強くなっていきます。ところが股関節が硬くなってしまい可動域が十分に確保されていない場合、筋肉の収縮と弛緩は小さくなり筋力の低下へとつながります。
3.誤った身体の使い方
グロインペイン症候群の発症リスクは、身体の使い方にも左右されます。例えばプロのサッカー選手のキック動作を思い出してみてください。ボールを蹴るのに脚だけを動かすことはないはずです。上手な選手は体幹の軸を安定させて、上半身を回旋する力を利用してボールを蹴っています。
体幹の筋力がなく上半身との連動性がない状態でキックをしようとすると、股関節周囲の筋肉だけを働かせる必要があります。そのため鼠径部への負担が大きくなりグロインペイン症候群の症状を招きます。グロインペイン症候群の改善には正しい身体の使い方を習得することも重要ですグロインペイン症候群は、以上のいずれか1つが原因となるわけではなく、3つが相互的にからみ合い悪循環に陥り慢性化していきます。プレーするたびに痛みが出るため、全力が出し切れずパフォーマンスの低下につながります。グロインペイン症候群が原因となり、スポーツを引退していく選手も多いと言われていますので、痛みが生じた場合は早めに対処することが大切です。
治療法
痛みに対しては患部の施術を行い、運動療法で体幹と股関節の可動性・安定性・協調性を強化する!
疼痛緩和と筋緊張の除去、炎症の抑制を目的に徒手療法や鍼灸治療・物理療法を行います。
股関節の可動域拡大を目的とし、腰背部・腹直筋・内転筋群に施行します。
- スポーツマッサージ
- 股関節モビライゼーション
- 鍼灸治療
- 干渉波・ハイボルテージ・EMS
- 罨法(アイシング・ホットパック)
- 超音波治療
- 股関節の可動域訓練
- 股関節周囲筋・体幹部筋力強化
- 柔軟性向上
- 体幹・バランス能力向上
- キック動作などの身体コントロール訓練