肘部管症候群

「肘部管」とは肘の関節の中にあるトンネル状で、中には尺骨神経という神経が通っています。

肘部管症候群は、この肘部管という部分で尺骨神経が圧迫されることによって起こる疾患です。尺骨神経は上腕の内側から、前腕の内側にかけてを走っており、小指側の感覚と、手指・手首の運動を支配している神経です。尺骨神経は皮ふに近い部分や筋肉の間を走っているため、構造上、非常に圧迫を受けやすいと言えます。特に圧迫しやすい場所が、肘部管です。肘部管症候群は肘部管の部分で尺骨神経が慢性的に圧迫を受けたり、引っ張られることで神経が損傷を受け発症します。例えば、机やカベなどで肘の内側をぶつけた時に、腕から手にかけて電気が走るような痛みを経験したことはありませんか?それがまさに肘部管の部分で激しく神経を圧迫させたためにおきる現象です。そのしびれが慢性的に続いている状態が肘部管症候群と言えます

  1. 痺れや感覚の低下:通常は小指、薬指、手の内側に影響が現れます。
  2. 痛み:肘の内側や腕の一部、手に痛みが出現することがあります。
  3. 手の弱さ:手の筋力が低下し日常的な活動が困難になることがあります。例えば、ペットボトルの蓋が開けづらくなったり、雑巾を絞るなどの動作がしづらかったりすることがあります。
  4. 筋肉の萎縮:症状が進行すると、手の筋肉が衰えて明らかに委縮することがあります。
  5. 指の動きの制限:特に小指と薬指の動きが制限されることがります。

野球や柔道などヒジをよく使うスポーツの方はこのパターンで肘部管症候群を発症することがあります。競技や練習でヒジを酷使することで靱帯が分厚くなったり、ガングリオンなどの腫瘤が肘部管付近にできると、尺骨神経を圧迫し症状が現れます。

子どもの頃にヒジの外側の部分(上腕骨外顆)を骨折した経験がある方にも肘部管症候群を発症するケースが多く見られます。というのも、骨折の治癒の過程でしばしばヒジが外側にねじれた状態(外反)に変形してしまうことで尺骨神経が引っ張られた状態になってしまうためです。その場合、骨折直後ではなく、遅発的に肘部管症候群の症状が現れてきます。

肘部管症候群は尺骨神経の圧迫によって起こる疾患ですが、実は似た症状でも別の疾患の場合があります。それは「ギオン管症候群」です。ギオン管の場合、同じ尺骨神経の圧迫でも、ヒジの部分ではなく手首の部分にあるトンネル状のギオン管で圧迫が起こります。

同じ症状であっても圧迫の場所が異なるため、施術方法は当然違っています。そのため、今起きている症状はどの疾患であるかの鑑別が重要です。

肘部管症候群の場合、尺骨神経が支配している薬指と小指の筋肉が正常に働かないため、指がワシのかぎ爪のように曲がってしまいます。頸椎ヘルニアや胸郭出口症候群などの場合には、この鷲手変形は生じません。肘部管症候群の判断をする際に重要なポイントのひとつと言えます。

肘部管を圧迫したり刺激を加えた際にしびれが誘発されれば肘部管症候群の可能性があります。

手首を上に曲げた状態でヒジを最大まで曲げてテストを行います。1分以内に薬指と小指に痛みやしびれが出てくると肘部管症候群の疑いが強まります。

よくある質問

肘部管症候群は再発することはある?

はい。再発する可能性はあります。治療後も肘まわりの筋肉や関節に継続的な圧迫や刺激がある場合に症状が戻ることがあります。

保存的療法の場合、物理療法等を用いて数週間から数カ月かかることがあります。手術をした場合でも術後のリハビリテーションが必要で数週間から数カ月かかることが一般的です。

症状が悪化するだけでなく、治療が遅れれば遅れるほど治りも悪くなります。また、神経が長時間圧迫され続けると手や指の感覚が戻らなくなる恐れもあります。

できるだけ早く医療機関に受診しましょう。

肘部管症候群の治療法|稲毛区 にこぐさ鍼灸整骨院

肘部管症候群の主な原因は長時間にわたり肘を曲げままの保持、繰り返し同じ動作による反復的な衝撃、肘関節の異常や腫れなどです。これらを解消するのには生活習慣の見直しも必要になってきます。

「筋膜リリース」繰り返し動作によって凝り固まった筋肉をほぐしていきます。筋膜リリースを行うことで肘まわりの可動域を広げます。そうすることで圧迫されていた神経を開放へと導きます。

「鍼灸治療」尺骨神経への局所的なアプローチをします。また、肘まわりの筋肉の緊張緩和、血流を良くすることで痛みや痺れの緩和を図ります。

コンビネーション治療は痛みが強い時に、高電圧の電気刺激による疼痛緩和、筋肉の緊張緩和、血流改善、可動域の改善に効果的です。